仏ミューボテ日本センターの取り組み
仏ミューボテ日本センターJapan Center of Mieux Voter, France
<わたしたちの取り組み>
わたしたちは、フランスの市民団体Mieux Voter(より良い投票)と連携しながら、以下のような最新の投票理論や海外の良い事例を日本に紹介し、市民参加型予算のような直接民主主義の取り組みを広く知ってもらうことで、日本で「投票」について考える一助となればと考えています。
・最新の投票理論:多数決でない民意集約方法
現状の選挙制度は多数決を採用しています。しかし、多数決は民意を適切に集約する方法なのでしょうか?
マジョリティージャッジメント(MJ)は、中央値Medianという数学的に優れた性質を持つ統計量を活用することで、多数決よりも民意をより適切に反映させやすいと言われている最新の投票理論です。実際にパリで使われている投票用紙を示しますが最新の理論が使われているから回答が難しいということはまったくなく、有権者はそれぞれの候補者や提案に対し、自然言語で示された数段階の評価(アイコン)を選択するだけであり直感的に回答することができます。
・海外での取り組み事例:市民参加型予算
行政予算の一部の使い道を市民が投票を通じて直接決めるものです。政策により民意を反映できること、市民が政策決定への参画意識を持つことができるメリットがあります。
パリで行われている市民参加型予算では、世界に先駆けて2021年からMJを用いた投票により市民が直接予算の使い道を決めています。事後アンケートで参加者の7割近くが満足を実感しているというデータもあり、現在も継続されています。
最新の投票理論とされているMJは、既存の他の投票ルールよりも複数の利点を持ちます。「票割れ」「組織票」「戦略的な投票」などによる本当の民意が結果に反映されない・されにくい欠点を克服しています。より簡単な作業でありながら、戦略的な投票にも左右されにくい制度がMJです。私たちはMJを多くの方に知っていただくことが現在の多数決を採用している投票制度に一石を投じ、投票制度や投票自体を考え直すきっかけになると考えています。
また、市民参加型予算は、市民が直接政策を選択するという特性上、市民が必要性を感じている政策を把握し実行するために有効です。また市民が自らに関する事柄について具体的に政治や政策を考える機会と政治参画の実感を提供することにも繋がり、より多くの方の政治参画が期待できます。
もう一つの視点として、市民参加型予算の導入はウェルビーイング向上につながると私たちは考えています。日本において、国際的に見ても極めて低いとされる「社会とのつながり」や「つながり満足度」の向上が望まれており、これはウェルビーイングの重要な構成要素とされており、人々が豊かな生活を送る上で欠かせない要素です。なかでも特に注目されているのが、「社会的な孤立」や「孤独感」という問題です。
日本人は「社会的交流」の時間が国際的に先進国平均から並外れて最低レベルです。また社会的支援(困ったことがあった時に頼ることができる友人や親戚のいない人の割合)は、国際的に平均的であるものの個人間の差が大きいという課題が残っています。
国際的にもこれら社会的な孤立や孤独感の課題が取り上げて解消が求められており、そのためには人々の「つながり」を促進し、人々の満足感や心の健康を向上させることが重要です。
前述のように市民と社会のつながりを促進する市民参加型予算は、ウェルビーイングの向上に寄与することができると私たちは考えています。
私たちの活動は、主義・思想・党派を超えて普遍的な論理的思考や科学的エビデンスを活用し、社会全体の政治参加度を高め政治に活かしていくことを目指しています。私たちは理論的な議論だけでなく、現実の政策決定において市民が直接影響を与える機会を増やすことに重点を置いています。MJのような新しい投票理論や市民参加型予算のような世界での取り組みを広めることで、民意がより正確に反映され、より多くの人々が政策決定に参加することを促進します。
最終的には、私たちの活動が日本社会全体の政治参加度を高め、政策の決定により多くの市民の声が適切に反映される社会を実現することを願っています。
私たちは、これらの取り組みを通じて、日本の民主主義を深め、政策決定に市民の声を更に反映することを目指しています。私たちの活動は、理論的な議論だけでなく、現実の政策決定において市民が直接影響を与える機会を増やすことに重点を置いています。市民参加型予算のような手法を通じて、市民一人一人が政策決定に参加し、自己の意見を表明することで、より公正で公平な社会を築くことに繋がればと考えています。