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役員一覧と代表ご挨拶

代表理事 東京大学公共政策大学院 特任教授
 宮木 幸一

労働衛生委員 京都大学名誉教授
 川村 孝

障害福祉委員 京都大学准教授
 岩隈 美穂

理事 ユニ介護センター
 毛利 宗玄

理事・顧問弁護士 京町堀法律事務所
 細井 信秀


京大保健管理センター教授室にて川村先生と宮木

<代表ご挨拶>

今まで私は、「働く」という社会参加に焦点を当てたメンタルヘルス診療・研究・ボランティアを行ってきました。発達障害の方が働きやすい社会や働き方を考えることを通して、一般の方にとっても「生きづらさ」を感じずに、各自の能力を発揮できる社会(本領発揮社会)の手がかりを探索中です。 医学研究者として和文での論文執筆や日本語での発表は最小限にしてきましたが(英文原著論文等はこちら)、2015年に国際医療福祉大学 医学部公衆衛生学分野の教授に内定し、教授就任後 (2017年~2018年 国際医療福祉大学教授、2019年~2020年名古屋大学教授、2020年~2023年京都大学教授、2023年~現在 東京大学教授) は研究成果を実社会に活かして「実践」する社会貢献活動により重点を置くようになりました。

2017年5月に発達障害・自閉症領域でのトップジャーナルの一つである国際誌Autismに受理された我々の研究成果(日本人でも自閉症傾向が連続分布し、Wingのスペクトラム仮説が日本人でも成り立つことを大規模疫学調査で初めて証明)が示すように、誰もが多かれ少なかれ発達障害傾向を持っていて、決して他人事ではありません。

以前からボランティアでお手伝いしてきた発達障害者就労支援団体の意見を聞きながら、(発達障害といっても本当に多様なので)当事者ご自身の性質を宮木らが翻訳・開発した国際的な質問紙群を利用して定量的・視覚的に(ADHD傾向とASD傾向の2軸評価で図示)把握してもらい、長所や苦手なことを明確にし、その苦手なことを意識したソーシャルスキルトレーニングや想定される対策を立てるといった当事者支援手法を開発しました。当事者自身への支援のみならず、障害者を雇用しようとしている採用担当者にあらかじめ欠点を開示してミスマッチを減らす試みも検討中で、学術成果を「就労支援・マッチング支援・定着支援」という3つのフェーズで活用する先駆的な取り組みです。職場での適応力を高め、就職活動時のミスマッチを減らし、早期離職を防ぐことに役立つことが期待されますし、普通に働いている健常者(定型発達者)への応用も検討中です。

また働き方改革でも注目されている生産性に関しては、国際的なプレゼンティーズムと呼ばれる「欠勤には至っていないもののパフォーマンスが低下している状態」を定量化してフィードバックし、自分の能力をより発揮して仕事への満足度や幸福度が向上するような取り組みを進めています。OECDによるBetter Life Indexを参考に作成された内閣府Well-beingダッシュボードを用いた調査結果を見ると、ウェルビーイングを構成する複数の因子の中で、「つながり」の満足度が日本人において低いことが特徴的です。特に高齢化や過疎化が進展している地方自治体においては、都市部から定期的に訪れたり地域にかかわる仕事をするような「関係人口」を増やしそのつながりを維持して経済を活性化すること、また地域住民の中での「つながり感」(Well-beingダッシュボードでのつながり満足度)をはぐくみ、住民のウェルビーイングを高めることは重要な課題となっています。こうした観点から、つながりを促したり、「つながり満足度」を高める介入方法を検討し、その効果測定を客観的に行って真に有効な介入interventionを明らかにしながら、各種企業とも協力しながらそうした介入の社会実装を通して、国民のウェルビーイングを高めていってもらうことに寄与できればと考えています。

大学での研究成果や産業保健現場での20年にわたる産業医・メンタルヘルス診療経験を実社会に還元し、障害の有無によらず各自がなるべく力を発揮でき社会が活性化するよう、産官学プロジェクトで理想的な事例を模索していくだけでなく、NPO活動や診療・カウンセリング室運営を通して実社会に役立つ、地に足のついた活動も合わせて実践していきたいと考えておりますので、引き続きご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


東京大学公共政策大学院 特任教授・医学博士
宮木幸一

<代表略歴>

 昭和49年大阪市生まれ、神戸の灘中学・灘高等学校を経て、平成12年 慶應義塾大学医学部卒。平成17年 同大医学部にて医学博士号を取得後、京都大学医学部講師、北里大学医学部准教授、国際医療福祉大学医学部教授、名古屋大学 予防早期医療創成センター客員教授、京都大学大学院 地球環境学堂客員教授を経て、現在は東京大学公共政策大学院 特任教授。

 障害者の就労支援や主観的生産性を評価するプレゼンティーズム指標の普及支援といった非営利活動と並行し、メンタルヘルス診療や産業医としての企業への助言、内閣府によるウェルビーイング調査個票データの解析、Majority Judgmentの社会実装など公共政策分野(Public Policy)の研究や社会実践に取り組んでいる。
 医師、医学博士(Dマル合適格)、関西棋院囲碁四段、保護犬含む犬6頭の飼育歴を持つ愛犬家。

 EBMとEBPM(根拠に基づく政策立案)やコレクティブデシジョン(集団の意思決定)に関する著作「多数派の専横を防ぐ意思決定理論とEBPM」を日本経済新聞出版より2023年3月刊行。
 東京大学出版会からの既刊は「社会と健康 健康格差解消に向けた統合科学的アプローチ」(第8章を分担執筆)、「発達障害を職場でささえる 全員の本領発揮を目指すプレゼンティーズムという視点」(単著)がある。


 代表の宮木は保護犬含む6頭の飼育歴をもつ医学博士・公共政策研究者

 就学就労支援や依存症再発予防に係る非営利活動・診療、市民参加型予算や投票理論に関する研究・政策提言、パリの市民団体 MieuxVoterの姉妹団体としての活動などを行っています。