ごいた ―― その歴史とルール紹介、AI対戦

能登に伝わる伝統ゲームの歴史・ルールを詳しく解説し、実際に決着するまで遊べるシミュレーターも文末に掲載

ごいたとは?

 監修:宮木幸一博士(関西棋院 囲碁四段・前 東京大学特任教授)

 「ごいた」は能登の漁師町・宇出津(うしつ、現在の鳳珠郡能登町に属する地域)に伝わる、4人で行う伝統的な娯楽ゲームです。向かい合う2人が味方となり、各自8枚の手駒を出し切って得点を獲得します。重要なのは、駒の種類を合わせることだけではありません。会話で手駒を伝えられない中、表向きの駒、伏せ札、パス、残り枚数から味方の手と敵の手を推理する「無言のチーム戦」であることが特徴と魅力になっています。 将棋系の遊びをもとに地域で工夫され、大敷網漁の仕事を終えた漁師たちが、駒を持ち寄って浜辺や日陰で楽しんだそうです。

ポケモンごいた
将棋の駒さえあれば遊べますが、ない場合はこのような専用商品も販売されています

明治時代
宇出津でごいたが生まれ、地域の人々の娯楽として定着していきます。
地域での継承
家族や仲間が集まる場で遊ばれ、駒の扱い、言葉を使わない協力、勝負の作法が受け継がれてきました。
全国・世界へ
保存活動や大会、カード版などを通じて地域外にも広がり、能登を知る入口の一つになっています。

地域に根を張る遊びは、単なる懐かしさではありません。同じ盤を囲み、世代や立場の違う人が一緒に考える時間は、地域との関わりを生み直す力になります。

ごく簡単なルールのまとめ:各人8枚の手駒を持ち、チームで得点を積み上げていきます。使うのは将棋の駒に似た32枚の駒(後述)です。親が攻め札を出し、次の人は同じ種類の駒(または条件を満たす王)で受けるか、「なし」と言ってパスします。誰かが8枚すべてを出し切ると、そのラウンドは終了します。このとき出し切った人のチームがあがり駒の点を獲得し、先に150点以上へ届いたチームが勝利します。

下図は、親が攻めた後、次の人が「受ける」場合と「パスする」場合を示しています。受けた人は新しい攻め札を出して次へつなぎ、3人がパスすれば元の攻め手へ戻ります。

ごいたの手番の流れ。親が伏せ札と攻め札を出し、次の人が受けるかパスするかを選ぶ図

8枚をすべて出した人のチームがラウンドを取り、最後の「あがり駒」の点がチームに加算されます。

ご注意:対局中、手駒や伏せ札の内容、作戦を言葉や態度で味方に伝えてはいけません。攻める・受ける・パスするという公開された行動だけから、4人全員が状況を読み合います。

最初に知りたい基本ルール

ゲームの始まり

  1. 親は受けの段に1枚を裏向きで置きます(伏せ札)。
  2. 続けて攻めの段に1枚を表向きで出します。
  3. 次の人から順に、受けるか「なし」にするかを選びます。

受けた人の手番

  1. 場の攻め札と同じ種類の駒を表向きで出します。
  2. 続けて自分の新しい攻め札を表向きで出します。
  3. 次の人に手番が移ります。
よくある勘違い:毎回「伏せ札+攻め札」を出すわけではありません。伏せ札を出すのは、親の初手、または自分の攻めが他の3人全員にパスされて手番が戻ったときです。

「なし」は、同じ駒を持っていないときだけでなく、持っていても戦略上パスしたいときに選べます。この選択が、味方との協力や相手への駆け引きを生みます。

駒の構成と強さ

枚数あがり点王で受けられるか実戦での意味
王(玉)250高得点のあがり札であり、飛・角・金・銀・馬を受ける切り札
飛・角各240枚数が少なく、残り札を読めれば強い攻め・あがりになる
金・銀各430味方と「かかり」を作りやすい中心札
420低得点で、余れば伏せ札候補になりやすい
420不可王で受けられない。複数枚を持つ側の強い圧力になる
1010不可最多。1枚なら攻めにくいが、2枚以上は終盤の受け札として価値が増す

最初に覚えるべき総数は「飛・角は各2枚、金・銀・馬・香は各4枚、しは10枚、王は2枚」です。表向きで出た枚数と自分の手駒を引けば、残りの所在を推理できます。

配駒後:手役の確認

8枚が配られたら、最初に「し」が5枚以上ないかを確認します。手役は通常の進行より先に処理します。

しの枚数宣言公式の処理
5枚五しし5枚を公開し、味方と「続行」または「取り直し」を相談する
6枚六し全8枚を公開。し以外の2枚のうち高い方の得点を得る。同じ駒2枚ならその得点を2倍
7枚七し全8枚を公開。し以外の1枚の得点を2倍して得る
8枚八し100点を得る
五しで味方と相談できるのは「続行するか、取り直すか」です。手駒の内容や作戦を伝える相談はできません。

ラウンドの進行

ごいたで毎回「伏せ札+攻め札」を出すわけではありません。伏せ札を置く局面と、前の攻めを受ける局面を区別することが、ルール理解の最重要点です。

1. 親の最初の一手

  1. 親は手駒から1枚を受けの段に裏向きで置きます。これが伏せ札です。
  2. 続けて1枚を攻めの段に表向きで出します。これが場のお題になります。
  3. 次の人へ手番が移ります。

2. 次の人の選択:受けるか、なしにするか

3. 攻め札が一周した場合

攻め札を出した人以外の3人全員が「なし」を選び、手番が元の攻め手へ戻ったとき、その人は受けの段に伏せ札を1枚置き、新しい攻め札を1枚出します。これが親の初手と同じ「伏せて攻める」局面です。

4. あがりと次の親

誰かが8枚すべてを出し切った瞬間にラウンド終了です。最後に出した攻め札が「あがり駒」となり、その点数をチームに加えます。あがった人が次ラウンドの親になります。先に150点以上へ到達したチームがゲームの勝者です。

王の正しい使い方

王は50点のあがり札である一方、飛・角・金・銀・馬を受けられる万能の受け札です。ただし香・しには無力です。王を「最後まで抱える札」と考えるのではなく、敵の強い攻めを止めて、こちらの有利な攻めへ切り替える札として使います。

温存しやすい局面切りやすい局面
飛・角・王を最後に残し、高得点あがりを作れそう敵の飛・角を放置すると、敵のあがりが近い
敵の高位札がまだ見えておらず、後の受けに必要王で受けた直後に、香・飛・角など強い攻めへ移れる
味方の攻めが続いており、自分が主導権を奪う必要がない敵が残り2枚で、失点を防ぐために今受ける必要がある
香・しに対する現物を別に持っている今パスすると、次のし・香攻めに関われなくなる恐れがある

伏せ札と初手の実戦指針

伏せ札は、不要な駒を相手に見せず処理し、手の攻撃力と防御力を保つための手段です。基本は「自分にとって攻めにくく、残しても受けの幅を狭めない駒」を伏せます。

候補考え方注意
単独のし残り9枚が他者にあり、攻めとしては受けられやすいしを2枚以上持つなら終盤の受け札として価値が上がる
単独の馬低得点で、余れば処理しやすい味方とのかかりが強く読めるなら残す意味もある
単独の4枚駒味方とのかかりが見込めず、攻めの持続力が低い香は王で切れないため、単独でも場の状況次第で温存する
飛・角・王原則温存目的なく伏せない。高得点あがり・強い攻め・受け札の候補
初手の攻め札は「強い駒」だけで選ばない:味方と同種を多く持つ可能性、敵に残る枚数、王で切られるか、受けられた後に何をするか、最後に何点であがりたいかを順に考えます。

受ける・パスする判断

初心者が最も改善しやすいのがこの判断です。「同じ駒を持っているから受ける」は負け筋になりやすく、受けるなら必ず次の攻め札まで設計します。

局面基本判断理由
味方の攻めまずパスを検討味方の攻めを継続させられる。受けるのは勝ち筋が見える時、または敵のあがりを止める時
敵の攻め受けた後に強い攻めが出せるなら受ける受け札を処理しつつ主導権を取れる
敵の攻め次の攻めが弱いならパスも比較受けても敵を助けるだけなら、情報を出さない方がよい
敵が残り2枚あがり阻止を優先自分の得点より失点回避が重要
自分側が140点以上確実な小あがりを優先10点のしでも150点に届くなら、欲張らず勝ちを取る

受ける前の6秒チェック

  1. 場の札は香・しか。香・しなら王では受けられません。
  2. 受けた後、私は何で攻めるか。
  3. それは味方の攻めを止めないか。
  4. 敵・味方の残り手駒は何枚か。残り2枚の人はいないか。
  5. 自分側は150点まで何点必要か。

かかりと枚数読み

味方同士が同じ種類の駒を持つことを「かかり」といいます。自分と味方で4枚駒を3枚以上持つと読めれば、敵に残る現物は最大1枚です。その種類は攻め札として強くなります。

読む順番確認すること
1. 総数その種類は何枚あるか飛・角は各2枚。1枚が見えたら残りは1枚
2. 所在場・自分・味方の行動から何枚読めるか金4枚のうち自分が2枚、味方が金を攻めたなら敵の金は少ない可能性が高い
3. 手数誰があと何枚であがるか敵が残り2枚なら、強い攻めよりあがり阻止を優先

終盤・2倍あがり・点差

ごいたは「最高得点であがるゲーム」ではなく、先に150点へ届くゲームです。残り4枚になったら、あと2手番で何点のあがりを狙うかを考えます。

点差・局面優先すること
自分側が140点以上10点でもよいので確実にあがる
自分側が100〜129点20〜50点で届くあがり札を最後に残す
大差で負けている2倍あがりを含む高得点を検討。ただし成立条件を数える
敵が140点以上敵の10点あがりさえ阻止する。自分の得点より相手のあがり阻止

2倍あがりの正確な条件

最後の2枚が同じ駒であるだけでは足りません。残り2枚のとき、1枚を伏せ札、もう1枚を攻め札として出し、その攻め札を他の3人が誰も受けずにパスして自分へ戻った場合に、あがり駒の得点が2倍になります。香・しのように王で切れない駒、敵に現物が残っていないと読める駒は候補になります。

経験者に勝つための実戦原則

経験者は駒の総数、王の条件、味方への連携を読んできます。対抗するには奇策よりも、情報を渡しすぎず、点差に合わせて確実な判断を重ねることが大切です。

  1. 受ける前に、次の攻めまで決める。 受け札だけを見て反応しない。
  2. 味方の攻めは、受けない理由を先に探す。 勝ち筋・あがり阻止がなければパスが基本。
  3. 飛・角・王を目的なく早打ちしない。 高得点、受け、終盤のあがりという役を残す。
  4. 香を過小評価しない。 王で切れない香は、少ない得点でも強い攻めになる。
  5. 王を切る前に香・しの残りを数える。 王を持っていても香・しは止められない。
  6. し1枚と、し2枚以上を別の駒として扱う。 1枚は処理候補、2枚以上は防御札になりやすい。
  7. 4枚駒は占有率で見る。 味方と3枚読めるなら攻め、敵が多そうなら無理に受けない。
  8. パスも情報操作である。 敵に伏せ札を使わせる、味方の攻めを続けさせる目的で使う。
  9. 敵の残り枚数を最優先で見る。 残り2枚の敵には、得点よりあがり阻止。
  10. 150点から逆算する。 10点で勝てるなら、50点や100点を欲張らない。
  11. 定石の逆は目的があるときだけ。 型破りは、相手に定石を読まれる局面でのみ使う。
  12. 対局後は一局面だけ振り返る。 「あの受けの後に何を攻めるべきだったか」を1つ検討する。

大会・コミュニティに参加する

ごいたは4人・2対2のゲームなので、経験者と打つ機会を作ることが上達の近道です。対面の大会・地域の交流会・ボードゲーム会・オンライン対戦など、自分に合う入口から始めましょう。

参加先向いている人参加時のポイント
大会公式ルールで競技を経験したい人日時、会場、締切、参加費、ペアの要否を最新の募集要項で確認する
地域支部・交流会教わりながら対面で打ちたい人初参加・経験の有無を事前に伝え、対局後に一局面だけ質問する
ボードゲーム会近場で気軽に4人を集めたい人開催者へ「ごいたを遊びたい」と事前に相談し、経験者卓を探す
オンライン対戦まず手数を重ね、局面に慣れたい人対局募集・観戦・対局後の振り返りを活用する

AI対戦

AIの相手(北側は味方AI、東側と西側は敵AI)と対戦してみましょう! 受けたら続けて攻め札を出す、正しい「2枚セット」の手番ルールで動作します。

チームA(あなた+北): 0
チームB(東+西): 0
北(味方AI)
西(敵AI)
場(現在の攻め札)
東(敵AI)
あなた(南)の手駒
選べる駒 攻め札(表向き) 伏せ札(裏向き)

💡 今なにをすればいい?

準備中です…

    手役の確認